はじめに
R6年度秋季の情報処理安全確保支援士に無事合格することができたので,受験体験記や勉強に使った教材などを紹介したいと思います.
情報処理安全確保支援士について
「情報処理安全確保支援士」とはサイバーセキュリティ対策を推進する人材の育成を目的としてIPAが実施している国家資格です.
IPAが開催している資格はITパスポート(IP)や基本情報技術者試験(FE),応用情報技術者試験(AP)などをはじめとしてネットワークスペシャリスト(NW)や情報処理安全確保支援士(SC)など計13種類の試験が実施されており,その中でも情報処理安全確保支援士は唯一の免許制となっています.(独占業務などはないようですが…)
*https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/list.htmlより引用
情報処理安全確保支援士の試験形式は以下のようになっており,合格基準は「午前Ⅰ・午前Ⅱ・午後」全てにおいて60点以上をとることです.
- 午前Ⅰ試験
- 試験時間
- 9:30-10:20(計50分)
- 出題形式
- 多肢選択式(四肢択一)
- 出題数・解答数
- 出題数:30問
- 解答数:30問
- 試験時間
- 午前Ⅱ試験
- 試験時間
- 10:50-11:30(計40分)
- 出題形式
- 多肢選択式(四肢択一)
- 出題数・解答数
- 出題数:25問
- 解答数:25問
- 試験時間
- 午後試験
- 試験時間
- 12:30-15:00(計150分)
- 出題形式
- 記述式
- 出題数・解答数
- 出題数:4問
- 解答数:2問
- 試験時間
*https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/sc.htmlより引用
午前Ⅰの免除条件について
上述したネットワークスペシャリストや情報処理安全確保支援士などの高度試験で実施される午前Ⅰ試験は以下の条件を満たすことで免除されます.私の場合はR6の春に応用情報技術者試験(AP)に合格していたのでこの免除制度を利用しました.なお以下の免除は満たしてからその後2年間(試験4回分?)のみ有効です.
- 応用情報技術者試験(AP)に合格
- 情報処理技術者試験の高度試験、情報処理安全確保支援士試験のいずれかに合格
- 情報処理技術者試験の高度試験、情報処理安全確保支援士試験の午前Ⅰ試験で基準点以上の成績をとる
*https://www.ipa.go.jp/shiken/about/koudo_menjo.htmlより引用
私の受験前のスペックについて
- 地方国立大の情報系大学院2年生
- 趣味でサーバやネットワーク周りの勉強
- 基本情報・応用情報は取得済み
- CTFなどの経験が多少あり(picoCTFのMidが解けるくらいです)
- 就職してもセキュリティに携わるので持っておきたいと思い受験
勉強に使用した参考書
Youtube・Webサイト
- 「まさるの勉強部屋」
- https://www.youtube.com/channel/UCgBf5j2KIkFBm29Z7fYDG1A
- 各要素技術(SPF・FIDO・OAuthなど)について短い動画で完結にまとめてくれているので
電車に乗ってる間やちょっとした隙間時間で見ることができてとても重宝しました
- 過去問道場
- https://www.sc-siken.com/sckakomon.php
- IPA試験の定番サイトといえばこのサイトですね.応用情報の時にもお世話になりましたがおそらく午前の演習はこれをひたすらやればいいんじゃないでしょうか?
書籍
- 増井敏克さん著「メール技術の教科書」
- https://www.shoeisha.co.jp/book/detail/9784798183930
- これは受験を決める前から持っていて,メール周りの技術に特化した本は少なくとても勉強になりました.支援士の対策として軽く読み直しました.
- 上原孝之さん著「情報処理教科書 情報処理安全確保支援士 2024年版」
- https://www.shoeisha.co.jp/book/detail/9784798183534
- 定番の上原本ですね.基礎的な知識はこの本で十分だと思います.
- 三好康之さん著「2024 情報処理安全確保支援士「専門知識+午後問題」の重点対策」
- https://www.itec.co.jp/store/products/detail.php?product_id=3855&srsltid=AfmBOoqj6VVJOkr_j8H4e5JO-jNr-CWmi0REbomTKJETgPoNINakqsOu
- こちらも午後対策の定番ですね.頻出テーマ絞って重点的に学ぶことができ,なおかつ午後の演習にもなってとても役立ちました.
- 村山直紀さん著「うかる! 情報処理安全確保支援士 午後問題集[第2版]」
- https://bookplus.nikkei.com/atcl/catalog/23/05/11/00810/
- こちらも定番の本だと思います.これのおかげで本番での記述力を身につけることができたと思います.しかしこれは著者の方も言われているようにある程度知識が身についた後に読まないと意味がないかもしれません.
勉強のスケジュール
7月末(受験申込)
- 7/31:受験申し込み完了
- 直前まで受験を悩んでました
8月中旬くらい
- 村山本を読み始めました.この時に1ページずつしっかり読むというよりかは流し読みに近い感覚で複数回読んでました.
- 村山本と並行して過去問道場で午前の過去問をひたすら解いてました.この時に,間違えた問題や知らない語句に関しては村山本で調べたりして関連単語なども一緒に覚えるようにしました.
9月中旬くらい
- 午前がある程度解けるようになってきた.過去問で9割くらいとれるようになったので三好本で午後演習に移行しました.
- 三好本の前半部分(第1部と第2部)は飛ばして第3部の午後問題のテーマ別対策をひたすらやりました.解説に関してもかなりしっかり書かれているのでわかりやすいと思います.(その分,文量は多くなっていますが)
- 解け始めた最初の方は4-5割くらいしか取れずにかなり絶望してました.
- 特に記述で抜き出すところが全然違ったり…
- 一通り全テーマを解き終わったら頻出テーマについて繰り返し解いて少し余裕があるときは関連するほかの過去問とかも解いてたりしました.(この辺りは三好本に関連するテーマが出題された年度や大問なども示してくれているので便利だと思います)
10月上旬ー当日まで
- うかる! 情報処理安全確保支援士 午後問題集をひたすらやってました.本も持ち運びしやすくてどこでも読めるので便利ですね.
- 特に今回の試験問題では従来の○○文字で答える方式から文字数が指定されず具体的にこたえるようになっており記述力がかなり重要になってきた試験だったと思うので,この本はとても重宝しました.午後問題でかなり部分点がもらえてたのはこの本のおかげかなと思ってます.
- そのほかにも隙間時間に過去問道場で午前Ⅱを解いたり,まさるの勉強部屋を流したりしてました.
当日
- 特に対策などはせずにいつも通りの時間に起きて早めに会場につくようにしました.
- 午前と午後の間にチョコとか食べててもいいかもしれませんね.
受験当日の注意
- 証明写真を受験票に貼ること
- 今回の試験でも証明写真を忘れていた方がいて急いで撮りに行ってた人がいました.
- 時計を忘れないようにすること
- AppleWatchなどのスマートウォッチは禁止なので気を付けましょう.
- 100均とかの安いやつでいいと思います.
- ちなみに私は普段はAppleWatchを使用しているので試験用の時計としてこれを使ってます.
- https://amzn.asia/d/9RHBR0R
- 4,5年前に買ったものですが1度も電池切れにならずかつシンプルなのでいいと思います.
- 会場には時間に余裕をもって到着すること
- 会場が大学だったのですが,いつもの建物とは違う場所だったので少し焦りました.
- *受験票にはざっくりした会場(○○大学○○キャンパス)みたいな感じでしか書かれてないので初めて受ける人は迷うかもしれません.
- 余裕があれば前の日に下見してもいいかもしれません.
- 昼ごはんは事前に買っておくこと
- 場所によっては近くのコンビニとかが混んだり,そもそもなかったりする場所もあると思うので事前に買っておく方がいいと思います.
- おにぎり・チョコなどの簡単に食べれるものでいいと思います.
受けてみた感想
今回の支援士試験は新体制(午後Ⅱが廃止)になって2回目?3回目?の試験でどういう感じの問題が出るのか正直つかみずらかったですね.実際に今回の問題では記述問題において字数制限がなかったり,問3では図を書く問題など今までにはない問題が出題されていて少し動揺しました.
逆に字数制限がないということはすこし冗長気味に書いて部分点を取りに行くという戦略もあるのかもしれません.
最終的な合格率を見てみても支援士の合格率はいつもなら20%前後だったのが今回は15.1%とやはり字数制限がなくなったり,図を書く問題のような,傾向の違う問題になったのが影響してるのかなとかも思ったりしました.
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